装飾と機能の美

古びない伝統を感じさせる形態に、質の高さを感じさせる独特な器肌が特徴的なまるせ窯さんの器たち。


まるせ窯
 
 入口前には大きな甕が置いてあり、手入れされたお庭からは、静かで落ち着いた雰囲気が感じられます。 大きな三角屋根が特徴的で、白い壁には大きく「せ」の文字が書かれているこちらの建物は、 丹波焼の窯元の1つである「まるせ窯」さんです。
 ギャラリーには、シックな雰囲気でありながら、箔を施したかのようなキラキラとした光沢、手触りの良いざらざらとした独特の質感、鮮やかなグラデーションが魅力的な陶器が並んでおり、これらは現在まるせ窯さんを代表するシリーズとなっています。お皿からコーヒーカップ、ビアカップまで幅広く取り揃えているので、思わず家の食器をこのシリーズで揃えたくなります。
 窯主である大上雅司(おおがみまさじ)さんがこのシリーズを制作する上で何よりも大切にしているのが「土」です。篠山の奥土と、自ら採取してきた山土をブレンドし、理想とする仕上がりになるよう工夫を惜しみません。また、この独特の器肌は炭化という焼成方法によるもの。こうすることで、ただ美しいだけでなく、しっかり焼き締まり、吸水性がなく、匂いもつきにくくなるのだそう。まさに、装飾美と機能美を併せ持った器だと言えます。現在はこのシリーズが作品のほとんどなのですが、自然釉にも人一倍のこだわりがあり、穴窯を駆使した作品も手がけられており、ギャラリーにも数多く並んでいます。
 今回の取材時には、急須の作陶風景を見せて頂きました。急須は、胴、ふた、持ち手、口といったパーツを組み合わせて作られており、雅司さんはこれらを器用にろくろで作られていきます。特にふたや、持ち手、口の部分は、薄く形も複雑。指先の微妙な動きに意識を集中し、薄作りの細かな形を作り出しています。その繊細な作業には、見ているこちらも思わず息を止めてしまうほど。また持ち手部分は、土で作る他、アケビのツルや、籐(とう・ラタンのこと)、真鍮など沢山のバリエーションがある中で、今回はアケビのツルを取り付ける作業を見せて頂きました。三日間程水に浸して、巻きやすいようふやかしたツルを、慎重にかつ力強く巻いていかれます。
 一日に沢山作ることのできない急須ですが、仕上ったその凛々しい姿を目にすると、お客さんに喜んでもらいたいと、一つ一つの工程に、真面目に、想いを込めて作られていることが分かります。
 自分流の丹波焼を研究し、謙虚に日々作陶活動に励まれている雅司さん。興味を持たれた方は、まるせ窯さんへ是非お越しください。


住所:篠山市今田町下立杭212 →google mapでみる
電話:079-597-2378
定休日:なし(臨時休業あり)
駐車場:約3台

端正な形のこちらは、一見すると小壺のようですが。急須の胴の部分。人それぞれですが、大西さんの場合は全てのパーツを轆轤で成形されます。

大上雅司さんは陶芸歴40年以上のベテランです。穏やかな人柄と真剣な顔つきのギャップが印象的です。

真鍮やラタンなど様々な種類の持ち手があります。あけびの蔓を器用に巻き付ける熟練の業には見とれてしまいます。

ふっくらとした胴体と絶妙なバランス感で取り付けられた各パーツ。その美しいフォルムは丹波ではなかなか見ることができない、まるせ窯を代表する逸品です。

こぶりな急須も、大きな土瓶も、雅司さんの手にかかると、端正な形に仕上がります。

真鍮やあけびなど素材がことなる持ち手も、しっくり収まっています。どちらも一生ものの風格があります。

ギャラリースペースには、現在取り組まれている炭化シリーズの他、穴窯で焼成された荒々しい作品も見ることができます。

三角屋根の清潔感漂うギャラリーからは、雅司さんの作品に通底する美意識を感じ取ることができます。

 


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2015-05-09 | Posted in 買えるとこNo Comments »