ヘーツ、ヘーツ。カエロ、カエロ。

古くから続く伝統芸のに欠かせない「びんざさら」という道具。奏でる音と一時一時変化する形状に目を奪われます。


住吉神社の神舞「蛙踊り」

 今田町には「蛙の宮」という一風変わった名前の神社があります。摂津の国堺市の住吉神社の荘園(私有地)だったこの土地には現在では6つの住吉神社があります。そのうちの最古の上小野原の住吉神社は鎮守の森の形と、そこで奉納される神舞いの名称から「蛙の宮」とよばれています。
蛙踊りとは蛙の宮で継承されている神舞いで、年に一度神さまに稲の収穫の喜びと感謝を表し奉納される踊りです。
平成15年には兵庫県の無形民俗文化材に指定されており、篠山市の三大奇祭のひとつに挙げられています。田楽自体は室町時代の芸能ですが、蛙踊りについてははっきりとした資料がなく、いつの時代から奉納されているのかは定かではありません。
 
 現在は蛙の宮の氏子さんらで組織された「住吉神社神舞保存会」が継承しており、小野原5ヶ地区の氏子の中から選ばれた合計14名の男性が秋祭りの宵宮(前日)に蛙踊りを奉納します。
鶴と亀が染められた大広袖に身をまとい、「ビンザサラ」という竹の小さな板が連なった昔の楽器を使って稲の収穫作業を表現し、踊りの囃子は太鼓と「ヘーツ・ヘーツ」「カエロ・カエロ」という掛け声のみです。ビンザサラの竹は、長いものは108枚と煩悩の数、短いものは88枚と決まっており、88は米を作るときの手間の数とされています。

 踊りは「惣田楽」と「いずまい」の2部構成になっていて、まずは「惣田楽」。締太鼓3人、ビンザサラ5人で行います。ビンザサラを使って稲を刈り取り、稲木に干し、脱穀するまでの様を表現します。「ヘーツ・ヘーツ」「カエロ・カエロ」の掛け声と締太鼓の囃子にのせて、同じ動作を三度づつ繰り返し約30分間踊り続けます。
田楽が終わると次は「いづまい」。締太鼓3人、踊り子3人で行います。刈り取りの終わった田んぼで鶴たちが感謝の舞を踊る様子を、順に一人づつ表現します。これは約15分間ほど。いずまいの太鼓役はこの間ひたすら座ったまま太鼓を打ち続けるのです。

 この蛙踊りは、氏子さんたちの「伝承したい」という気持ちひとつで成り立っています。1カ月前から毎週練習を重ね、先輩から若手へと指導され、正しく次の世代へと伝えられていきます。
台本、楽譜などはなく、ただひたすら同じ動作を数を守って行われます。それには相当の体力と集中力がいることでしょう。練習後は踊り子は汗だくになり、太鼓役は腕が上がらなくなるほどの疲労が残ります。奉納前には「足ぞろえ」といって、ぴっしり踊りや太鼓が揃うまで踊り続けるリハーサルのようなものを終え、ごちそうとお酒をいただき、宮入りします。
踊りをするころには日も暮れて静まり返った神社の中で響く「ヘーツ・ヘーツ」の掛け声はまさに神秘的なものを感じます。
これはその土地で生まれ、その土地で育ち、その土地の神様を祀る地元の人たちが守り続けてきたものです。

 今年の本番は、10月4日(土)19時すぎから、今田町上小野原「蛙の宮」にて。どなたでも見学ができますので、ぜひ古来より受け継がれている伝統芸能をご高覧ください。


場所:今田町上小野原・住吉神社 →google mapでみる
電話:079-597-3961
開催日:2014年10月4日(土)19時過ぎから
駐車場:神社近くに駐車スペースあり
※夜間は冷え込むので、防寒対策をしっかり行って下さい。


踊りは二部制。一部では米の収穫を連想させる舞が、二部では収穫を感謝する舞が、それぞれ奉納されます。

太鼓の音頭に合わせて舞が進んでいきます。三三九度を基本とした形。

息を合わせ、動きを合わせ、リズムを合わせ、単純な動きの中に美しさが求められます。

鶴が豊作を感謝する「いずまい」では三人の踊り子が、順番に踊っていきます。

「いずまい」では、鶴が感謝を表現するとあって、踊り子が高くジャンプする場面が見どころ。

観光目的のお祭ではないため、大勢の人で賑わうということはありませんが、古来から続く姿を見ようと遠方から訪れる方も。

当日は山車も見ることができます。今年は山車に乗って太鼓を叩く姿も見られるそうです。

 


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2014-09-27 | Posted in 観るとこNo Comments »