赤土部に想いはせて

赤土部の手つき土瓶の鈍朱色と、そこに活けられたリンドウのコントラストが美しい。


市野英一窯
 
 上立杭のうぐいす坂の麓にある市野英一窯さん。その一代目となる英一さんは1984年(昭和59年)の築窯から、陶芸家人生の大半を赤土部の研究に捧げてこられました。
丹波焼を代表する装飾のひとつでもある赤土部は、江戸時代初期に登り窯とともに生み出された装飾技法(厳密には水留めの手法)で、鉄分の多い化粧土をかけて高温でじっくり焼成することで、綺麗な赤色に発色します。言葉で書くと単純そうですが、その生産時期はおよそ100年間ほどと言われる、いわば幻の丹波焼です。理想的な赤土部を得るために最も大切なのは「焼き方」だとおっしゃる英一さん。薪を使った登り窯でしか、赤土部らしい赤色を得ることはできないため、赤土部をつくり始めてからの20年間、幾度となく窯の構造に手を加え、赤土部仕様の登り窯を築き上げてこられました。
現在でも1回の窯出しで、良くて7割くらいが作品として焼き上がり、失敗したものは処分してしまうというシビアな姿勢に、英一さんの赤土部に対する情熱を感じずにはいられません。窯出しの度に仕上がりを楽しみに待っていらっしゃるファンがいるというのも納得です。
また、その他に英一さんを代表する装飾が「網目文」です。縄文土器から着想を得たこの装飾技法は、粗めの網で跡をつけ、その網目の溝に白土を埋め込むことで生まれる蛇柄のような珍しい模様が他では見ることのできない、特徴的な作風になっています。
数多くの受賞歴があり、国内は沖縄から北海道まで個展を開き、現在はドイツのお店でも取扱いがあるという英一窯さん。丹波焼の象徴でもある、英一さんの手によって現代に蘇った幻の丹波焼をご覧に、また確かな手によって作りあげられた幅広い作風を手に取りに是非英一窯さんへお越し下さい。


住所:今田町上立杭2-21 →google mapでみる
電話:079-597-3261
営業時間:10:00 ~ 17:00
定休日:不定休
駐車場:約4台

角皿を制作する作業を見せていただきました。たたらと呼ばれる手法で、型に土板を押し当てて形にしていきます。

手の跡を消すため、布地を押し当てて仕上げていきます。布目の美しい器肌が現れます。

英一さんを代表する装飾技法がこちらの網目紋。プリミティブな文様のゆらぎと、掛け分けた釉薬の色調が目を引くシリーズです。

網目紋シリーズの手つき皿。これ一つで料亭で出てくるような料理を家庭で再現することができます。

赤土部だけでなく、「丹波」を強く意識されている英一さん。伝統技法の鎬をアレンジしたシリーズも多く揃います。

先端のエッジがスタイリッシュな印象を与える英一さんの鎬シリーズ。

硬派な作風とは一転、遊び心あるオブジェや作品も数多く見ることができます。

一際美しい仕上がりの赤土部の徳利。朴訥としたフォルムと相まって、丹波らしい風情を感じることができます。

道路に面した英一窯さんのギャラリースペース。こじんまりした空間に一人の陶工の創作史が詰まっています。

 


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2015-06-13 | Posted in 買えるとこNo Comments »