市野悟窯

彩色線象嵌の器たち。白地ベースの他にも、黒(炭化)ベースもあります。


市野悟窯
 
 陶芸の世界には様々な技法があります。釉薬で絵や文字を描く「イッチン描き」や器を削り模様を施す「鎬(しのぎ)」などがその例です。
 今回ご紹介する市野悟窯の現窯主、市野哲次さんは、削った溝に化粧土をはめ込み模様を生み出す「彩色線象嵌(さいしょくせんぞうがん)」という技法を得意とされています。とても手数がかかり、作品を見てもお分かりになるように繊細さが必要とされる技法です。
 悟窯さんのギャラリー兼工房はやきもの通りから少し脇道に入ったところにあり、路地裏歩きを楽しみながら、訪ねることができるロケーションです。ギャラリーの扉を開けると、黒や茶などのシックな色のベースに緑や赤などの鮮やかな差し色が入った色彩のコンストラストの美しさ、そして繊細に描かれた曲線模様や幾何学模様に目を奪われます。
 お皿やコーヒーカップ、徳利、花器などの日常使いの器から大皿や壺類などの観賞陶器まで幅広い陶器に彩色線象嵌の技法が用いられており、哲次さんらしさを楽しめると同時に、同じ技法から生まれる豊かなバリエーションに目移りしてしまいます。
 哲次さんに彩色線象嵌の工程の中で最も重要な作業といってもいい、溝を掘る工程を見せて頂くと、驚くことに一本の小刀を使ってすーっすーっと淀みなく曲線を刻みこんでいくかれます。その哲次さんの慣れた手つきは、一見なんてことのない作業に見えますが、少しでも深く掘ってしまうと、そこからひび割れが生じ器として成り立たなくなってしまうという非常に難しい工程です。
 哲次さんの熟練の技が成せる繊細な装飾技法で彩られた市野悟窯の器たち。この模様に、この色使いに、この繊細さにびびっときた方は、是非市野悟窯へ足をお運び下さい。


住所:篠山市今田町上立杭398 →google mapでみる
電話:079-597-3006(店・陶房)/ 079-597-2661(自宅)
定休日:不定休
駐車場:あり

工房兼ショップの位置は少しわかりづらいかもしれません。旧陶芸会館の裏手、現在修復中の最古の登窯の横道からも向かうことはできます。

大物を作成するときも、下絵を描き、それをなぞる形で掘っていきます。

溝の中に化粧土を埋め込む作業。さっと刷毛で塗った後に、水を含んだスポンジで余分な箇所を取り除きます。

大きな鉢の作品。中心に向かって吸い込まれるような、宇宙的な魅力が感じられました。

工房に差し込む光が、作品にさらなる表情を与えてくれます。

 


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2014-10-24 | Posted in 買えるとこNo Comments »