古丹波好っきゃねんな~。

作業を待つ陶器、手を伸ばす昌義さん。そこには緊張感のようなものが感じられます。


丹京窯
 
 陶の郷に続く坂の下に店を構える丹京窯さん。ご主人の昌義さんは丹波立杭陶磁器協同組合の理事長を務めながら、丹京窯の作品の土の形成、削り、仕上げ、薬がけなど全ての工程を一人でされています。そして、奥様の裕子さんはお店の番と、商品を買ってくれたお客様に差し上げる絵手紙の制作。そしてお母様の多紀子さんは、清水流絵手紙の家元として、絵手紙の教室や講義をされていて、娘さんもイラストのお仕事をされている、まさに芸術一家です。
 清水流絵手紙とは、お母様が独学ではじめられ、お買い上げ頂いた商品に「焼物に心を添えて」という思いで絵手紙のお礼状を書かれたのがきっかけです。奥様もお母様に習われて、お買い上げ頂いたその場で、結婚祝いや誕生日プレゼント等その陶器をどのような気持ちで選ばれたかに応じて絵手紙を作成されます。去年の陶器まつりでは店番をしながら100枚の絵手紙を書かれたそうです。もちろん無料です。このような思いの込められたサービスを受けられるのは丹京窯さんだけではないでしょうか。
 その思いは陶器にも込められていて、昌義さんの作品は常に使い手であるお客様が使いやすい、持ちやすい、さらには洗いやすい、食器棚にしまいやすいというところまで考えて作られています。例えばマグカップ。持ち手は小さすぎず大きすぎずしっかり指にフィットする大きさと形、飲み口は口当たりがいいように少しカーブしています。中側は洗いやすいよう、道具を使ってスポンジなどが引っかからないように仕上げられています。
 そして、大きな作品を作るのが好きという昌義さんですが、店頭にも並ぶ「傘徳利」は、番傘の形をしていて、注ぎ口は小さな球体が形取られている、とても繊細な作品です。これはどうやって作られているんだろうと目が釘づけになる作品です。とても指先では作れない小さく綺麗な球体は、「柄小手」という木の道具を使ってろくろで形成されています。少しでも力の入れ具合が違うと完成しない巧の技術を感じさせる作品です。このような作品を作られる時は、息をするのを忘れるくらい集中されるそうです。
 しみじみと「古丹波が好っきゃねんな~」と作品を眺めながらボソリ。40年以上も作陶されていても純粋な気持ちでおっしゃるから、それはとてもかっこいい言葉でした。最後に、一番のお気に入りは?と質問しました。答えは即答で「奥さんです」と答えていただきました。ごちそうさまです。
 使い勝手のいい陶器をお探しの方はぜひ丹京窯に行ってみてください。


住所:篠山市今田町上立杭9 →google mapでみる
電話:079-597-3187(店舗)/079-597-2668(製陶所)
営業時間:9:00~17:00
定休日:不定休
駐車場:あり
HP:http://tankyougama.com/index.html


製陶所を案内する昌義さん。製陶所の裏側、県下最古の「のぼり窯」に並ぶように、ご自身の登り窯を構えておられます。

こじんまりとした作業場で、一点だけを見つめ、ただ黙々と仕事をする姿。様になります。

右側が文章中で紹介した「傘徳利」。左側がそれを作るための「柄小手」という道具。どうやってこの形が出来上がるのか…いつか見てみたい!

時候に合ったモチーフとその時感じた言葉を即席で描いていただきました。まるでライブペインティングを見ているよう。

取材にお邪魔してからものの10分。下書き見本もなく、さらさらさら〜っと…はい完成。

外側にクッと反った微妙なカーブ具合が、飲み口にすっと馴染む秘密です。

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2013-11-14 | Posted in 買えるとこNo Comments »