受け継いできた伝統、そして挑戦

取材に同席いただいた稲右衛門さんの奥さんおすすめの作品。器の底に溜まった釉薬が得も言われぬ景色を作り出しています。


稲右衛門窯
 
 何代何十代と途切れることなく続いていること…それは戦争や不況、時代の流れと戦いながら世代ごとになされた弛まぬ努力があって初めて成り立つものと思います。
 今回ご紹介するのは「稲右衛門窯」。1734年(享保19年)生まれの初代稲右衛門から陶芸を始められ、現在で10代続く窯元さんです。現在は、父の上中稲右衛門さんと息子の上中剛司さんのお二人で陶芸活動を続けられております。
 10代目上中稲右衛門さんは、古丹波に代表される自然釉の風合いや、炎が陶器の周りを走ることによって生まれる模様を好まれて作陶されています。今では、人工釉などを用いガス窯でも似たような風合いをだせますが、燃えた薪の灰が陶器に降りかかることで生まれる自然釉の独特な色合い、風合いを好まれるため、穴窯を好んで使用されています。丹波焼では、桃山時代頃まで穴窯が使われていましたが、江戸後期に登り窯が導入され、また昭和に入ってから、電気窯やガス窯が多くなるにつれ、効率性や経済性の悪さからその姿を減らしてきました。しかし効率性や経済性を求められる現代だからこそ、時代に逆行する穴窯の存在意義があると考え、丹波焼の伝統的な技法を用いて古き良き丹波焼を後世に残していきたいと、作陶に励まれています。
 また、息子の上中剛司さんは、丹波焼の若手陶芸家を中心とする「グループ窯」の一員として精力的に活動され、パリ、東京、神戸など丹波に留まらず、日本、そして世界に向けて広く活動されています。作風は、丹波の伝統技法である墨ながし等を用いながら、濃い赤や青を現代風に取り入れた作品など、その創作の幅の広さに驚かされます。中でも目を惹かれるのは陶器で作られた万華鏡。万華鏡を専門に作っている作家さんとコラボした珍しいもので、陶器の筒の部分のデザインにさまざまなバリエーションがあり見た目も覗いても美しい作品でした。
 また、取材時にはコーヒーカップの制作風景を見せて頂きました。「しのぎ」や「けずり」「面取り」等の余計なもの削ぎ落としていく作業が好きな剛司さん。仕上げの高台削の作業は、細かな作業ですが手際よく器用にされている姿が印象的でした。
 「丹波焼を地元から遠方まで幅広く知ってもらい、使ってもらいたい。」と剛司さん。是非、「稲右衛門窯」へ足を運んでみて下さい。


住所:篠山市今田町下立杭183 →google mapでみる
電話:079-597-3105
定休日:不定休
駐車場:あり
ホームページ:http://www.inaemongama.com/

こちらは穴窯で焼かれた茶碗。古丹波に見られるような厳しさ鳴りを潜め、灰の表情が上品に仕上がったお茶席に合いそうな逸品です。

轆轤台で作業をする上中稲右衛門さん。作務衣姿が板についています。

特別に家系図の写しを見せていただきました。十代続く上中稲右衛門家の歴史が垣間見れます。

稲右衛門さんのギャラリーと息子剛司さんのギャラリーは少し離れたところに別々に建っています。こちらは息子剛司さんのギャラリースペース。ギャラリーの奥には昔使っていたという練炭窯の姿も。

ポップな色使いが特徴的なこちらのポットは剛司作。他にも丹波らしい渋めの作品や、艶やかで上品な風合いの作品など幅広い表現を見ることできます。

作業の中でも好きだという高台の「削り」を見せていただきました。

丹波焼では剛司さんだけ、全国でもかなり珍しいと思われる、筒が陶器で出来た万華鏡。中身の万華鏡も手作り、それを包む筒も手作り。まさに一期一会の作品です。

写真奥に見えるのが剛司さんのギャラリースペースです。稲右衛門さんのギャラリースペースはここから三田方面に200メートルほど。

万華鏡はクルクル回すたびに見える模様が異なり、二度と同じ模様は見えないそう。少し値段は張りますが、きっと贅沢なひとときを味わうことができることでしょう。

 


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2014-08-08 | Posted in 買えるとこNo Comments »