向かい合う二つの工房

伝統技法の墨流しを用いた新作に取り組む万左年さん。


千代市陶房
 
 丹波伝統工芸公園「立杭 陶の郷」にほど近い小高い丘の上、山々に抱かれた窯元群を眺める絶好のロケーションに位置するこちらの窯元は「千代市陶房(ちよいちとうぼう)」さんです。現在、清水千代市(しみずちよいち)さんと、その息子である清水万佐年(まさとし)さんのお二人で陶芸活動されている窯元さんです。
 陶千房、日本六古窯現代名陶館と銘打たれた展示販売スペースは独自の世界観で隅々まで趣向が凝らされており、一見すると丹波焼の窯元の作品が一堂に会しているかのような、千代市さんの多種多様の陶器が並び、訪れた人の目を楽しませてくれます。 ガラスケースの並ぶ展示室では、千代市さんの数々の作品の中から選りすぐりの作品の他、他の六古窯の現代作家の名品の数々を堪能できます。千代市さんは現在、自分のペースでゆったりと作陶されていますが、若い頃は作家活動だけでなく、陶芸研修や、ライフワークである「食文化研究」のために世界を股にかけて活動されていました。現在では、ブルックリン美術館や、大英博物館など世界的に有名なミュージアムにも千代市さんの作品が収蔵されています。「私の人生、自分のやりたいことをして過ごすことができ、これほど幸せなことはない。」と、一度限りの人生に悔いを残さないよう、今も陶芸活動や食文化研究、落語など、様々なことを楽しみ勉強し、一日一日を大切に、そして駆け抜けていらっしゃいます。
 次にご紹介するのは息子さんの清水万佐年さんです。万佐年さんの工房は、千代市陶房から谷を挟んだ、反対側の山の中腹に位置しています。千代市さんと同様に多様な表現方法で彩られた陶器が並ぶ中、一際目を惹き付けたのが、鮮やかなオレンジと水色の縦縞が入った、見ているだけで楽しい気持ちになれる色づかいのシリーズ。陶土に、磁器の土を混ぜ込んだ土を用いることで、このような鮮やかな発色になるのだそうです。年一回は登窯で焼成するという万佐年さん。取材時には、今回初の試みであり、登窯で焼成するという、墨流しの技法を用いた大型の鉢の作陶風景を見せて頂きました。大きな作品のため、墨流しの技法を用いると、土が柔らかくなり重力で形が崩れてしまいます。そこで、外の日差しの強い場所で乾かしながら、釉薬と白化粧を何度も何度も流しかけていきます。白、赤、青の三色がマーブル状に混ざりあった装飾に、薪窯独特の風合いや質感が加わった味のある焼き上がりを目指していらっしゃるそうです。
 千代市さんと万佐年さん親子それぞれが、多彩な表現で自分流の丹波焼を探求する毎日。気になられた方は「千代市陶房」へ是非足をお運び下さい。


住所:篠山市今田町上立杭5 →google mapでみる
電話:079-597-2288
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定休
駐車場:有

どこにどの色を流すか、流れる化粧土から生まれる一瞬一瞬の表情を見極める大胆かつ繊細な作業。

ベースとなる白化粧土、そして赤と青の化粧土。それぞれスポイトで垂らしていきます。

万左年さん作のカップやぐい呑。現代アートのようなアグレッシブな表現が魅力的です。

オブジェのような独創的な形態の片口。

酒器でも花器でも、使う方にも想像力を求められる作品です。

軽快なしゃべり口と気さくなお人柄の清水千代市さん。

千代市さんの作品たち。私設美術館かのような広いギャラリースペースにはところ狭しと千代市さんの作品が並びます。ここに見えるのはまだまだほんの一部。

軽快なタッチで描かれた千代市さんの絵付けの作品。金彩を用いた絵柄がとくに印象的。

何か別世界に吸い込まれそうな妖艶な模様の大皿。千代市さんの魅力はその湧き出るインスピレーションにあるのかもしれません。

日常使いの食器だけでなく、オブジェやアクセサリーも。なんでもあると言ってもいいくらいの豊富さです。

立杭の中心、陶の郷のすぐとなりに位置する千代市さんのギャラリーからは、向かいの山並みに建ち並ぶ窯元群という立杭ならではな風景も楽しむことができます。

 


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2015-07-11 | Posted in 買えるとこNo Comments »