レポート:小学校で登窯体験

今田小学校の裏山、今田町らしい美しい雑木林に囲まれた「あけぼの窯」。


今田小学校 あけぼの窯
 
 今田町に唯一ある小学校には全国でも珍しい、正真正銘本物の登り窯があります。
 平成12年、当時の校長先生が赴任された際「せっかくのやきものの里にある小学校なのだから」と地域の人たちと相談して芸術財団出資のもと築窯されました。登り窯が位置するのは小学校の裏山の斜面。山を切り崩して土地を作るのは土木業をしている保護者が、雨風を防ぐ上屋は建築業をしている保護者が、窯を作るのは窯元の保護者が、と未来の地域の為、こどもたちの為にとみんなが立ちあがってできた「あけぼの窯」。
 今年も今田小学校、今田幼稚園、古市小学校の生徒さんたちの作品約200点が6月10日にあけぼの窯に集められました。学年が上がるにつれて、ろくろを使ってお碗を作ったり、今田町の町花でもあるさぎ草を植える鉢を作ったりと、高度な作品も並びます。この日は窯元さんの協力のもと朝から窯詰めが行われました。いつもはそれぞれ自身の窯で1人でやっている窯詰めを、窯元パパが6~7人集まっての共同作業となります。窯の中に入って並べる人、そこに作品を運ぶ人、それぞれの経験をもって阿吽の呼吸でどんどん窯に詰められていきます。
 そして6月11日深夜火入れ。窯元パパと学校の職員さんが朝まで火の番をし、翌朝から学年ごとに生徒たちの薪入れが始まります。小さな投入口から見える炎は勢いを弱めることなく燃え盛り、薪を入れるのに蓋を少し開けると熱風が顔に当たり思わず後ずさりをしてしまうほどです。子どもたちもへっぴり腰になりながらも勇敢に薪をくべていきます。今回初めて登り窯の薪入れに参加した幼稚園の園児たちは「なんか焼き芋の匂いがする」「火事やー!!」「私たちが作ったお皿燃やすの??」とそれぞれに新鮮でかわいい感想を口にしてくれます。
 窯元パパも登り窯へとやってくる子供たちの声が聞こえると、次に来るのはうちの子か!?といつもの作陶してる真面目な顔ではなく、目じりの下がったパパの顔をして子どもたちが来るのを楽しそうに待っています。窯の外もあたたかな雰囲気でした。そしていよいよ6月19日窯出しの日。子どもたちは自分の作品を手にとり、嬉しそうに眺めます。丹波焼特有の、土をそのまま活かした焼締の渋い焼き上がりです。
 地元の子供たちにとって丹波焼が身近に感じられ、彼らが大人になったときに、「僕の地元やきものの里やねん」と言えるようになってほしい。と築窯に携わった関係者は言います。これからも、作る子どもたちも協力する大人たちも、次の世代に引き継がれ、絶え間なく焼き続けられることでしょう。やきものの町ならではの贅沢な学校行事です。

住所:篠山市今田町下小野原61 →google mapでみる


授業の合間あいまに子供たちがやってきます。普段の授業とは違う雰囲気に子供たちのウキウキした気持ちが伝わってきます。

窯元パパの共同作業。普段は少人数で行う作業を、パパたちがみんな一緒に行います。子供のために全力投球です。

山の傾斜をそのまま活かした丹波焼特有の登窯、通称「蛇窯」。やきももの里とは言え、普段なかなか見ることができないだけあって、子供たちも興味津々。

お隣の今田保育園の子供たちも薪入れに参加。おっかなびっくりの子供から、慣れた(!?)手つきでぽいぽい投げ入れる子供まで、十人十色の表情を見せてくれました。

焼きあがった自分の作品を見せてくれる子供たち。丹波焼の土味を存分に活かした焼き締めの作品ばかり。子供ながらに渋好みです。

一つ一つ焼き上がりの表情が異なるのも薪窯ならでは。「なんかキラキラしててこっちの方がいイイなぁ」なんて声が聞こえてきます。薪の灰を自然釉の贈り物をしてくれたようです。

5年生のクラスのみんな。お茶碗を作ったようで、後日作ったお茶碗で「お茶会」を開くそう。なんとも贅沢な教育が今田にありました。

 


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2014-07-03 | Posted in 観るとこNo Comments »