レポート:木津住吉神社「弓引きの儀」

父から子に受け継ぎ。子から父に酒が注がれる。


木津・住吉神社の弓引きの儀
 
 
 篠山市今田町は、氏神を祀る神社を舞台にしたお祭りが比較的多く残っている土地です。京都と姫路を結ぶ街道沿いに位置する町なので、古くから様々な習俗や風習が流入し、そして三方を山に囲まれているという地理的特徴が、そういった祭礼や行事を今に残す要因となったと考えられます。今回取材に訪れた木津(こつ)住吉神社のお祭りは、そのような今田町の特徴を表した、昔からの伝統を生きた姿で今に受け伝えるお祭りでした。
 このお祭が催されたのは年が明けて間もない1月2日。1年のはじまりにその年の農作業の無事を祈願するというのが目的です。この祭礼のハイライト「弓引きの儀」は、板に描かれた獣を弓矢で射ることで田畑を荒らす獣を追い払うという意味合いがあるそう。木津という土地は、窯業が中心の立杭地区とは異なり、昔から農業が中心の土地です。そういった背景を知った上でこのお祭りを見ると、「農作物を守りたい」という昔からの人々の切実な願いが伝わってくるようです。
 このお祭のもう一つの魅力は、神社の氏子さんたちの手で催されているということ。お供え物の料理はもちろん、使う道具の準備や制作、境内の飾付けなどありとあらゆる準備作業も氏子さんたちの役割。祭の前日、つまり元日から準備に勤しむそうです。写真にある豆腐田楽が刺さっている串や徳利の口を挟んでいる道具も氏子さんたちの手作業によるもの。
 「年々参加する人が少なくなっている」という少し淋しいお話もありましたが、この日は親子二代で参加されている方や、先輩の指導を受けながら祭を進行する若い人たちの姿など、次の世代に着実に受け継がれている現場に立ち会うと、まだまだ明るい未来が開けているのではと思えてきます。
 たこ焼きにベビーカステラ、射的に金魚すくいといったエンターテインメントがあるわけではありませんが、その土地の人たちがその土地の人たちの為にその土地の神様に祈願する、そういう衒いのない素直なお祭りの姿を見ることができる貴重な機会です。興味を持たれた方は来年是非見学してみてください。


住所:木津住吉神社 →google mapでみる
開催日:毎年1月2日午後12時頃〜

前日に神様にお供えしたものの「お下がり」を皆さんで召し上がります。

境内に備え付けられた竃で振る舞いのお酒が癇されます。こういう風景もこのお祭りならではかもしれません。

振る舞う側と振る舞いを受ける側。氏子の中で1年毎に役割が廻されるそうです。

自分の名前を書いた「シキミ」を奉納。神社の庇護下にある土地の中に悪い虫が入ってこないようにという願いが込められています。

境内の一角で約2時間に渡り酒や食事が振る舞われます。この日は若い人たちが給仕の仕方など指導を受けていました。

こちらが板に描かれた獣たち。ここに向かって矢が放たれます。ちなみにこの絵を描くことも氏子さんの仕事のひとつ。

いざっ!当たる当たらないに関わらず3本の矢が放たれます。(内1本は的とは違う方向に)近いように見えますが、意外と当たらないそうです…笑

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2014-01-10 | Posted in イベント情報No Comments »