レポート:丹波焼最古の登窯 修繕前の大そうじ

全長47メートル、120年の歴史を有する「登窯」の全ての部屋に数十年ぶりに火が入りました。ところどころ壊れている箇所から吹き出る煙や炎が、まるで活火山のような荘厳な姿を作り出しています。


丹波焼最古の登窯 修繕前の大そうじ-すす飛ばし‐
 
 4月30日(水)、夜も深まった午後10時頃、上立杭の地に120年前に造られた全長47メートルの登窯から真っ黒な煙が立ち上りました。
 この丹波焼の里に現存する最古の登窯は兵庫県の重要有形民俗文化財に指定されている大切な宝物。しかし現在は経年劣化のため損傷が激しい状態なので、2014年度から2年かけてこの丹波焼のシンボルでもある登窯を修繕する事業が始まりました。その最初の大仕事が、このすす飛ばしです。この登窯には9つの焼成室(袋)があり、現在でもそのうちの2~3袋は管理する窯元によって使われていますが、このすす飛ばしの作業とは、普段使用していない4~9袋に火を入れて、窯の中にたまったススなどを焼き飛ばすもの。窯の解体前に必要な工程です。暗闇の中、窯元20名くらいで作業が行われました。
 作業中の窯元に聞くと、作品が入っていない空の窯に薪を入れるのは新鮮だったそうです。しかも数十年ぶりにこの登窯の全ての袋に火が入るのは感慨深いとのお声も。見学に来た地元の人たちも薪入れのお手伝いをしましたが、およそ1,000度に達する燃えたぎる炎を前についついへっぴり腰に。窯本体が割れているところもあり、火が噴き出して危険なシーンもありました。そんなときもさすが陶工。噴き出す炎の中、軍手をはめてどんどん薪を投げ込みます。素人目には、手が燃えるんじゃないかとハラハラしてしまいました。
 日付が変わって5月1日(木)の午前1時頃、登窯の先端部(蜂の巣)から勢いよく炎が噴き出しました。蜂の巣部分も損傷が激しく、きれいな形とは言えませんでしたが、丹波焼陶工のご先祖が築いた登窯から噴き出る真っ赤な炎を、現在の丹波焼の重鎮と若手の陶工が一緒になって見守る光景は、丹波焼の歴史と現在をつなぐような温かいものでした。2015年の秋、修繕後の登窯に実際に陶器を入れて焼成する時には、きっと丹波焼の明るい未来を象徴するような、威勢のいい真っ直ぐな炎が蜂の巣から噴き出すことと思います。
 そして、まだ登窯の修繕事業は始まったばかりです。今後、多くの方々に丹波焼を知っていただくために、窯の修繕に必要なまくら(レンガ)作りなどのワークショップなどを開催予定です。丹波焼の築窯技術は国の「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選定されている知的財産。その伝統技術を使った登窯の修復に携わることのできる機会はなかなかありません。陶器好きなら生唾もの。今後の動向にご期待下さい!

 

窯の中に陶器は入っていない、いわば「空焚き」の作業。竹や廃材など様々な薪を使って火力を上げていきます。

窯の隙間から立ち昇る煙。地の底からふつふつと吹き出す命そのもののようでもあります。

投入口から薪を入れ、温度を上げていきます。見学者も手伝いましたが、ただ投入するだけではなくコツのいる作業です。

「登窯」の先端部に炎が達すると、煙が吹き出し、「蜂の巣」からは火の粉が乱舞して飛び出します。

薪を投入するたびに横穴や隙間から炎が吹き出します。どこが壊れているか、修繕が必要か、それを見極めることもこの作業では必要です。

先端部まで炎が達したのは数十年ぶり。1000度以上の高温で熱することで、窯の中に溜まっていた煤が取り除かれました。

まさに生きているかのように千変万化の表情を見せる炎。その場に立ち会うと圧倒され、魅了されてしまいます。

窯の様子を見守る陶工たち。現在これだけ大規模な窯焚きを行うことが少ないため、陶工の皆さんも目を輝かせて作業されていました。

 


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2014-05-16 | Posted in イベント情報, 観るとこNo Comments »